射手座──心に風を宿す人
シンボル ケンタウロス/射手
支配性 木星
「射手座のあなたは、冒険好きで楽天的」
そんな言葉を占いで目にするたびに、心のどこかで首をかしげる人もいるかもしれません。
「旅なんて、もう何年も行ってないよ」
「むしろ目立たない存在だと思ってる」
そんな思いを抱えている射手座さんも、きっといるはずです。
でも、
どんなに単調な日々を送っていても、どんなに静かに見えても――
射手座には、内側でつねに動き続けている”風”のようなものがあります。
停滞を嫌い、刺激や可能性の予感に惹かれ、生きている実感を探し続ける心。
退屈の中にずっとはいられない、そんな性(さが)を持っているのです。
表面は静かでも、芯はしっかりしていて、慣れた場所では頼れる存在。
そしてときに、クスッと笑わせてくれるようなお茶目さも、
射手座の人に宿るチャーミングな魅力のひとつでしょう。
けれど、もしもあなたが「目立たない」と感じているとしたら、
それは、自ら望んで控えめに振る舞っているのかもしれません。
あるいは、まだ過去の痛みを手放しきれずにいるのかもしれません。
射手座の人が感傷に浸る姿は、たしかにあまり見かけません。
けれど、静かに話をしてみれば、
驚くほど繊細で、深い傷を乗り越えてきたことが分かる瞬間があります。
そして、彼らはそれを「もう済んだこと」と笑って話してしまう。
それが、射手座の強さであり、優しさなのです。
彼らはいつも、過去よりも「これから」に目を向けている。
だからこそ、周囲からは「楽天的」とか「気にしない人」と見られがちですが、
それは、自分の心に正直に、前へ進むことを選んでいる証でもあるのです。
怒りも悲しみも、そこにとどまり続けるのではなく、
「さあ、次へ」と、軽やかに切り替えていく――
その姿勢は、どれだけの人に勇気を与えていることでしょう。
恋愛において、
「射手座は自由奔放」「気まぐれ」と言われることもあります。
でもそれは、何かを”失うこと”よりも、”可能性のない停滞”を恐れるから。
逆に、その関係に新しい広がりや希望があると感じたとき、
射手座の心はぐっと惹きつけられ、真っすぐに向き合っていきます。
象徴であるケンタウロスの矢が示すように、
自分の道を見つけた瞬間の射手座は、驚くほど一直線です。
それは、迷いを断ち切って進む力。
獅子座のような野心ではなく、もっと精神的な高みを目指して進む力です。
その一方で、射手座の言葉は、時にあまりにも率直すぎて
「冷たく感じる」「素っ気ない」と誤解されることもあるかもしれません。きっと
それは、曖昧さや遠回しを嫌う、誠実な性質ゆえ。
本当は、誰よりも相手の心を大切にしているからこそ、
言葉に責任を持ちたくて、無駄を省いているのです。
あなたには、誰かの心をふっと軽くするような”気さくさ”と、
何かを俯瞰でとらえる”賢さ”が、自然と備わっています。
誰かが迷っているとき、あなたの「たったひと言」が背中を押してくれる。
あなたはもう気づいていないかもしれませんが、
その存在が、誰かを救っていることもあるのです。
そして射手座の人は、思いやりの深さと同時に、
被害者意識にとらわれすぎることがない、冷静さも持ち合わせています。
そんなあなたのそばにいてくれる蠍座のような人は、
ときにあなたを受けとめ、またときに深い気づきを与えてくれるでしょう。
でもどうか、人の期待に応えようとしすぎて、
自分の真っ直ぐな思いを曲げてしまわないでください。
「波風を立てない」ことが最善とは限らないのです。
与謝野晶子のように、時代を切り開く人は、
時に”逆風”の中を矢のように進んでいったのですから。
射手座のあなたは、本当はおしゃべりで、明るくて、
好奇心いっぱいの心を持っているはず。
その反面、熱しやすく冷めやすいところもある
かもしれません。それは、
常に”新しい風”を求めている
からなのでしょう。
挑戦と変化を愛し、「まだ見ぬ何か」に心を躍らせる姿は、
まるで自由をまとう風そのもの。
射手座のあなたは、風のように、光のように、
人の心を明るい方へと導いていくことができる人。
その内なる矢が指し示す未来には、きっと、
あなたにしかたどり着けない場所が待っているはずです。
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