夢は
覚えていなければ意味がない、
印象的でなければ価値がない
と扱うのは正しくありません。
夢の役割は、必ずしも
記憶に残ることではないからです。
夢は、
言葉にならなかった感情や
整理されなかった思いを抱えたまま、
心が次の朝へ向かうための
通り道として現れることがあります。
その夜に処理されるのは、
大きな出来事ではなく、
ほんの小さな揺れかもしれません。
誰にも言わなかった違和感。
笑ってやり過ごした疲れ。
気づかないふりをした不安。
それらは、
夢の中を静かに通過し、
形を持たないまま、
心の奥へ溶けていきます。
だから、
夢を見たはずなのに思い出せなくてもよく、
寝言を言っていたのに覚えていなくてもいい。
夢は、
思い出されることで完成するのではなく、
通過することで、すでに役目を果たしている
そんな夜も、確かにあるのです。
朝、理由もなく少し軽い。
昨日より、呼吸が深い。
それだけで、
夢はもう、あなたを守り終えています。



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