夢は〈あなたの完全性に向けて〉語りかける

植木にみずやりして育てる女性
夢の小さな哲学夢は

夢は心の現実
花の中で植物に水を注ぐ人物のイラスト。夢と無意識が本来の自己へ導く過程を象徴している松の木の種が、桜の花を咲かせることはありません。
桜の種子が、松の木になることもありません。

それぞれは、それぞれの形へと育つために生まれてきます。

けれど、桜のあの淡く美しい桜色は、
花びらから生まれているのではなく、
実は、樹皮の内側から抽出される色なのです。

つまり、その樹木の内には、
すでに「咲くべき色」が息づいている、ということ、

人もまた、同じであり、

私たちは、種子の段階から、
さらにいえば、卵子の段階から、
すでに「本来の私」になる可能性を内包して生まれてきます。

それは、生まれる以前から
私たちの中に組み込まれている――
「本来の自分になろうとする力」とも言えるものです。

ユング心理学では、
夢はしばしば「自己(セルフ)」からの呼びかけだと考えられます。

ここで言う自己とは、
社会的な役割や、評価された人格ではなく、
私たちの奥深くにある、全体としての私自身のことです。

生きていると、ふと、こんな思いがよぎることがあります。

「なぜ私が?」
「なぜ、他の誰でもなく、この苦しみを私が引き受けなければならないのか?」

理不尽に思える出来事や、
避けたかったはずの体験が、
なぜか繰り返し訪れることもあるでしょう。

けれど、こう考えてみてはどうでしょうか。

日常に起こるさまざまな出来事は、
どれも「本来の私」へと至るためのプロセスなのだ、と。

その一つひとつの体験は、
意識には残らなくても、
確かに無意識の奥へと蓄えられていきます。

そして、もし私たちが
自分の本質から大きく外れた方向へ進もうとするとき、
夢が――無意識が――
そっと警告を送ってくるのです。

否定的な夢や、不安を伴う夢は、
単なる不吉な知らせではありません。

それは、

「本来の私」になることを妨げている何かへの注意喚起であり、
私たちが自分自身を取り戻そうとした痕跡、
いわば、心の痛みの記録なのです。

夢は、あなたを否定するために現れるのではありません。
あなたを、本来の全体性へと戻すために、現れます。

夢は、あなたの完全性に向けて、
いつも静かに語りかけています。

どうか、耳を澄ませてください。
その声は、あなたの内側から響いているのです。

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