私達には、独自の美的センスがある/新鮮な目で、自分自身を見つめ直す

新しい価値観や希望をつくる力を求めているとき、
美術館や美術品の夢を見ることがあります。
あなたはいま、
いろいろなことを考え、新しい発想を生み出そうとしている
のかもしれません。
美術品は、
あなたの心を生かし、魂を豊かにするもの。
そして美術館は、
より高い自分を探求しようとする、謙虚さや素直さ
を表しているでしょう。
私達は、美術作品を眺めながら、
その作品に込められた物語を想像します。
なぜこの色なのだろう。
なぜ、この人物はこんな表情をしているのだろう。
作者は何を伝えたかったのだろう。
同じように、
あなたがいま感じている気持ちにも、
これまで歩いてきた人生や、
いろいろな経験が根を張っています。
「なぜ私は、こう感じるのだろう」
と自分の心に問いかけているときにも、
美術館の夢を見ることがあるでしょう。
「美」は、
食事や住まいのように、
それがなければ生きていけないものではありません。
ある意味では、とても贅沢な営みです。
それでも人間は昔から、
絵を描き、歌をうたい、物語をつくり、
美しいものを求め続けてきました。
それは私達が、
想像力には、現実を変える力がある
ことを知っているからなのかもしれません。
いまよりも少し良い人生。
もっと自分らしく生きられる場所。
心が満たされる出来事。
あなたはいま、
自分の人生を少し良い方向へ変えてくれる何かを、
心の中で思い描いているのでしょう。
悲しみを喜びに変えたり、
行き詰まった気持ちに新しい風を入れたりするものを
探しているのかもしれません。
美術に詳しくなくても、
作品を見た瞬間に、
「好き」
「なんとなく苦手」
と感じることがあります。
その感覚には、
あなた独自の価値観が表れています。
どうして私は、これを好きだと思うのだろう。
そんな何気ない問いを持ち、
考えたり、調べたりしているうちに、
これまで気づかなかった世界へと
入り込んでいくことがあります。
自分とは違う人の人生観を眺め、
自分とは違う世界をわかろうとすること。
そして、
相いれないものの中にも、
何か理解できるものを探そうとすること。
美術館の夢は、
あなたの世界が少しずつ広がっていることを
教えているのかもしれません。
そして美術館では、
普段なら何気なく通り過ぎてしまうものにも、
わざわざ足を止めます。
少し離れて眺めたり、
近づいて細部を見たり、
別の角度から見直したりします。
夢は、あなた自身についても、
新鮮な目でもう一度見つめてみて
と伝えているのかもしれません。
自分にとってあまりにも自然な性質は、
自分ではその価値に気づきにくいものです。
人から褒められても、
「こんなことは、誰にでもできる」
と思ってしまうことがあります。
けれど、
あなたが当たり前のようにやっていることの中にこそ、
他の人が魅力や才能として感じているもの
が隠れていることがあります。
美術品を見るように、
少し距離をとって自分を眺めてみる。
そうすれば、
これまで平凡だと思っていたものの中にも、
あなたらしい価値を発見できるかもしれません。
私達人間には、
本能ともいえるような
美を探し求める心
があります。
精神的な抑圧や、
社会の閉塞感が強いときほど、
人はその息苦しさから抜け出すために、
美しいものや自由な表現を求めることがあります。
そして、
一見、自分とは何の関係もなさそうな出来事にさえ、
ユーモラスな視点や、
時には少しシニカルな問いを投げかけ、
「本当に、このままでいいのだろうか」
と考え始めます。
美術は、
答えそのものを示してくれるわけではありません。
けれど、
私達の中に眠っていた問題意識を呼び覚まし、
何かを変えようとする力を
与えてくれることがあります。
アーティストたちは、
異なる時代や文化の中で、
さまざまな方法を使って作品を生み出してきました。
その作品を通して、
私達は、
自分とはまったく違う場所で生きた人の喜びや悲しみに
触れることができます。
時代も、
国も、
言葉も違う人の思いに、
なぜか胸を打たれることがあります。
美との出逢いは、ときに国や時代さえ越えていきます。
そこには、
多様な私達がどう手を取り合い、
どう共生し、
これからの時代を生きていくのか、
という問いへのヒントも
隠されているのでしょう。
夢の中で、
ある美術品に強く魅入っていたなら、
その作品のどこかに、
いまのあなたが求めている答えにつながるもの
を感じていたのかもしれません。
作品の色。
描かれていた人物。
風景。
古さや新しさ。
明るさや暗さ。
どの部分が印象に残ったのかを
思い出してみてください。
その作品との出逢いを通して、
あなたはさまざまな生き方や価値観に触れ、
今の状況に、どう向き合っていけばいいのだろう
と考えているのでしょう。
夢の中の美術品が
あなた自身の所有物だったなら、
それは、
これまでの経験によって磨かれ、
あなたの中に確立されてきた何かを表します。
努力して身につけた能力。
大切にしてきた価値観。
人には見えない場所で育ててきた自信。
それは、
あなたの自信を、一つの作品としてデザインしたもの
なのかもしれません。
自分ではまだ、
その価値に気づいていないこともあるでしょう。
けれど美術館の夢は、
外の世界にある美しいものだけでなく、
あなた自身の中に、すでにあるものを見つけること
も促しています。
いつも見慣れている自分を、
一度だけ、
初めて会った人を見るような目で
眺めてみてください。
そこにはきっと、
これまで見過ごしていた
「あなたという作品」の魅力が
残されているのでしょう。



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