子供の頃、
悪い夢はすぐに話し、良い夢は人に話さないほうがいい、
と言われました。
「話す」は「離す」に通じていて、
私達は
良しにつけ悪しにつけ、話すことで、手中にあったものを手放しているようなところがあります。
悪い夢は人に話してなるべく早く忘れ、良い夢だけを覚えておけ、
ということだったのでしょうか。
そう解釈すると、随分都合のいい話です。それとも、
良い夢だけを見て、のんべんだらりと生きるのが理想的なのでしょうか。
本当のところ、どちらの夢も、
機が熟す時までは
「自分の中で抱える」強さを要する
とは、言えます。
もたらされる歓びとともに
苦しみを引き受ける強さも必要で、
考えさせられたり、反省したり、現実との間で葛藤が起きたり、
時には
そんなはずない、と否定したくなることもあったとしても、
心のどこかで「そうかもしれない」と感じ、「では、どうすればよかったのだろう」
と答えを探し求め、わからないことを
頭のどこかで考え続けていくことに、意味がある
のかもしれません。
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